はい

怯えたグッジェの顔が怒りでこわばる。ぼくは大きな声で「ミャアアアアアオ!」とサイレンのように叫んだ。「スパイスパイスパイ!ペテン師ペテン師ペテン師!どろぼうどろぼうどろぼう!」 グッジェがぼくを掴もうとする。血管が浮き立っているグッジェの手をひっかきながら、ぼくはジャーっと威嚇した。だけどグッジェの拳が鉄のペンチのようにぼくを押しつぶす。そこに、なにが起きたかと心配した千畝と、2人のアシスタントがドアから転がり入ってきた。「ネコが電線ケーブルをかじっているんです!」グッジェはうなるように言った。「グッジェは秘密文書を盗んでるんだ!」ぼくは叫んだ。

で、ぼくらはふたりとも家から追い出されることになった。

グッジェは領事館にゲシュタポ(ドイツの秘密警察、スパイ)を差し向けた。

そしてぼく、アキオネコ様、愛された領事館のペットは、つまならい野良猫になってしまった。カウナスのゴミ捨て場で生ゴミの取り合いをして、9つあるというネコの命をあっという間に失ってしまった。

house gate
ネコは鳴くと思う?